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海外ニュース編 IMFは2022年の経済見通しを引き下げた

海外ニュース編 IMFは2022年の経済見通しを引き下げた

こんにちは。

exit.です。

IMF(国際通貨基金:International Monetary Fund)が2022年1月25日に世界経済の見通しについてのレポートを公表していますので、今回のコラムではそのレポートの内容について取り上げたいと思います。今回のIMFのレポートのタイトルとしては「WORLD ECONOMIC OUTLOOK Rising Caseloads, A Disrupted Recovery, and Higher Inflation(世界経済見通し (オミクロン株による)感染件数の増加、景気回復の停滞と高いインフレ率」となっています。


全体としては、世界経済の成長率は、2021年の推定が5.9%、2022年の見通しが4.4%、2023年は3.8%となっています。先進国と新興国に分けた場合は、2021年推定がそれぞれ5.0%と6.5%、2022年の見通しは3.9%と4.8%、2023年の見通しは2.6%と4.7%となっています。2021年10月に発表されたレポートでは、2021年と2022年の予測は世界経済が5.9%(変わらず)と4.9%(今回のレポートでは0.5%減)、先進国が5.2%(同0.2%減)と4.5%(同0.6%減)、新興国が6.4%(同0.1%増)と5.1%(同0.3%減)となっています。2022年及び2023年の経済見通しがそれぞれ下方修正されています。


世界経済の見通しは、前回レポートよりも0.5%減の4.4%となっていますが、アメリカと中国の2つの国の経済見通しが下方修正されたことの影響が強く出ています。アメリカの2022年の経済見通しは前回よりも1.2%下がった4.0%となっています。この原因となったことですが、1つ目はジョー・バイデン大統領が法案の通過を目指していた「Build Back Better(より良き再建)」を取り除いたこと、2つ目は金融緩和政策の終了及び金融引き締めの開始の前倒しによる影響、最後の3つ目がサプライチェーン問題(供給制約)の継続によるものです。中国の経済見通しも下方修正されており、前回のレポートから0.8%減の4.8%となっています。原因としては、中国政府の厳格なゼロコロナ政策に起因するものと、中国恒大集団などに代表される中国の不動産に関連するものです。


今後のリスク要因としては、まず新型コロナウイルスの新たな変異株の出現によりパンデミックが長引いてしまうことです。このことが、経済活動に停滞や支障をきたすようになれば、サプライチェーン問題が継続し、エネルギー価格の乱高下を通じて資源国経済に打撃を与える可能性があります。また、アメリカやイギリスなどで取り上げられている賃金上昇圧力が上記の要因と併せてインフレ率の高止まりを引き起こすかもしれません。インフレ率を抑えるため、アメリカを筆頭に利上げや金融引き締めを行えば、金融の安定性が揺らぎ、新興国(特に発展途上国)の通貨安を導き、通貨や財務・経済の安定性を脅かすものになりかねません。これらのリスク要因によって金融市場のボラティリティが高くなることが予想されます。また、経済成長率が鈍化すると同時に、高いインフレ率が長期的に続く状況になると、人々の生活(特に貧困層の生活)に非常に大きな影響を与えてしまいます。先進国の中央銀行がインフレ率に注意を払っているのはその影響を少しでも早く鎮めるためでもあります。


表:地域別2021年経済成長率予推定及び2022年経済成長率予測

国/地域2021年経済成長率予測2022年経済成長率予測
世界5.9%4.4%
先進国5.0%3.9%
アメリカ5.6%4.0%
EU5.2%3.9%
日本1.6%3.3%
新興国6.5%4.8%
中国8.1%4.8%
インド9.0%9.0%
ブラジル4.7%0.3%
ロシア4.5%2.8%
南アフリカ共和国4.6%1.9%


今回のコラムで取り上げたIMFのレポートは以下のリンクからご確認いただくことができます。リンク先は英語のレポートですが、日本語版のレポートも読むことができます。

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2022/01/25/world-economic-outlook-update-january-2022


以下は、前回のIMFのレポートについて取り上げたコラムのリンクです。今回のコラムと併せてお読みいただければと思います。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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