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海外ニュース編 IMFは世界経済の成長の鈍化を予測している

海外ニュース編 IMFは世界経済の成長の鈍化を予測している

こんにちは。

exit.です。

IMF(国際通貨基金:International Monetary Fund)が2021年10月12日に世界経済の見通しについてのレポートを公表していますので、今回のコラムではそのレポートの内容について取り上げたいと思います。今回のIMFのレポートのタイトルとしては「WORLD ECONOMIC OUTLOOK Recovery During a Pandemic Health Concerns, Supply Disruptions, and Price Pressures(世界経済見通し パンデミック時の回復 健康問題、供給の混乱(サプライチェーンの乱れ)、価格圧力(インフレーション))」となっています。


世界経済の成長率としては、2020年は-3.1%、2021年の予測では+5.9%、2022年の予測では+4.9%となっています。先進国と発展途上国に分けた場合では、2020年は-4.5%と-2.1%、2021年予測では+5.2%と+6.4%、2022年予測では+4.5%と+5.1%となっています。世界経済の成長率に関しては先進国の経済成長率を下げたことや、所得水準の低い新興国でのパンデミックによる経済状況の悪化を加味したことで、IMFが2021年7月のレポートで出した予測値よりも0.1%ほど下がっています。ただし、新興国に関しては、エネルギー(資源)価格の上昇を受けて、経済状況の悪化が一部相殺されているようです。


もう少し細かく見ていくと、先進国の2021年の経済成長率が下方修正された理由としては、アメリカの予測が7月の予測7.0%から10月の予測では6.0%と大幅に下方修正されているためです。2022年においては逆に4.9%から5.2%となっています。EU圏では2021年の成長予測としては4.6%から5.0%、前回の予測から変化がなく2022年は4.3%の成長となっています。日本の経済成長率は2021年の2.8%から2.4%へと下方修正、2022年は3.0%から3.2%と上方修正されています。新興国の成長を引っ張るのはインドであり、2021年の予測では9.5%、2022年では8.5%(両年とも変更なし)と力強い経済成長を続ける見込みとなっています。


アメリカやヨーロッパ(EU圏)と比較をして、中国やインドは高い経済成長率を達成すると予測をされており、新興国の経済成長を牽引していく存在である国となっている一方、ロシアやブラジル、南アフリカ共和国などは、2022年の予測値では一気に経済成長率を下げてしまっています。新興国の中でも特に低所得の国ではワクチン接種が進んでおらず、コロナ禍が続けば続くほど、先進国との経済成長の格差が開くことになります。また、同じ新興国でもワクチン接種が進んでいる比較的豊かな国やハイテク技術を持つ国と低所得の国と、同じ新興国の間でも経済格差が生じるという結果になってしまいます。また、ワクチン接種が進まずコロナ禍が新興国で継続すれば、サプライチェーンの乱れが継続することとなり、先進国や他の新興国へ悪影響を与えることになり、経済成長率の更なる低下を招きかねません。インフレに関しても、IMFは来年のインフレ率は低下すると見込んではいますが、経済回復の前にインフレに見舞われた国では、経済回復の前に金融緩和の終了及び利上げをせざるを得ない状況となり、そうした国では景気が下振れする可能性があります。ワクチン普及、サプライチェーンの問題、インフレ率など今後も継続して注視していく必要がありそうです。


表:地域別2021年経済成長率予測及び2022年経済成長率予測

国/地域2021年経済成長率予測2022年経済成長率予測
世界5.9%4.9%
先進国5.2%4.5%
アメリカ6.0%5.2%
EU5.0%4.3%
日本2.4%3.2%
新興国6.4%5.1%
中国8.0%5.7%
インド9.5%8.5%
ブラジル5.2%1.5%
ロシア4.7%2.9%
南アフリカ共和国5.0%2.2%


今回のコラムで取り上げたIMFのレポートは以下のリンクからご確認いただくことができます。全体的な概要を述べているExecutive Summaryは2ページほどにまとめられています。Full Reportの方は170ページほどありますので、こちらはチャレンジしたい方向けになると思います。

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2021/10/12/world-economic-outlook-october-2021


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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