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投資の基礎 財務諸表編 第5回目 財務情報と非財務情報について

投資の基礎 財務諸表編 第5回目 財務情報と非財務情報について

こんにちは。

exit.です。

今回は、株式投資に役立つ会社の非財務情報について、その意義と重要性について書いていきたいと思います。


損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書などのような財務3表から読み取れる情報を財務情報と言いますが、会社が環境問題にどのように取り組むのか、SDGsをどのように捉えて企業活動を行っていくのか、会社のガバナンス(企業統治)はどうなっているのかという情報は財務諸表を見ても見つけることはできません。このような財務諸表に表れてこない情報を非財務情報と言います。そして、近年では、この非財務情報を重要視する投資家(機関投資家や個人投資家)が増えてきています。


この非財務情報の意義ですが、財務情報のように定量化できない定性情報にも会社の成長性や将来性を表す情報が多く含まれていると考えられていることにあります。非財務情報は、経営陣の経営に対する姿勢を読み取ることができます。欧米(特にヨーロッパ)ではESGやSDGsに対して積極的に投資を行う企業の株式に投資をするファンドが多くあり、その金額や市場に与えるインパクトも決して無視できないものになっています。


非財務情報の中で大切になってくるものには2つあります。その1つ目のSDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標のことを指しています。国連が定めている国際目標であり、17のグローバル目標と169のターゲットからなっています。以下のリンクから詳細が分かりますので、お時間があるときにご覧いただければと思います。

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/

企業としてこの国連の定める目標と、自社の事業をどのように結びつけていくのか、という視点が大切になってきます。自社だけが利益を出せればよいという時代は終わり、持続可能な開発に向けての目標設定が大きな意味を持つようになってきています。


そして、2つ目のESGとは、Environment(環境)、Society(社会)、Governance(企業統治)のことを指す言葉です。これらが、企業の経営やSDGsにどのように結びついていくのか、投資を考える際にこの2つの違いが何なのかわかりにくい面もあるのではないかと思います。この2ついてはは、SDGsが目標・目的であり、ESGはその目標・目的を達成するための手段と考えていただければと思います。この2つが非財務情報においては非常に大きな役割を持ちます。いくら優れた財務内容の企業であっても、製造している製品が環境問題を起こす、公害をもたらす、企業統治に問題があり経営の意思決定の方法が不透明な企業や社内でパワハラなどが横行している企業は問題があるとみなされます。その逆に、環境にやさしい技術を持っている企業や社会貢献に積極的な企業、優れた企業統治を行っている企業は評価が高くなります。SDGsを達成するためには、ESGを満たさなければならない理由が分かっていただけるのではないかと思います。


また、財務情報と非財務情報を一体的に公開している報告書を「統合報告書」と呼びます。東証1部上場企業においてのこの報告書の発行率は66%に達しています。日経225の構成銘柄では、2017年の57%、2018年の66%、2019年の78%と年々発行率が上昇しています。このことが、いかに企業が財務情報だけではなく、非財務情報を公開していくことを重視しているのかを示しています。これからも財務情報と非財務情報を一体的に開示していく企業の数は増加していくと予測できます。非財務情報の開示にどれだけ積極的なのか、SDGsへの取り組みやESGについての企業のスタンスというものが今後も重視されていく潮流には変化はないと考えられます。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。