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投資の基礎 投資信託編 第6回目 インデックスファンドの功罪について

投資の基礎 投資信託編 第6回目 インデックスファンドの功罪について

こんにちは。

exit.です。

今回は、投資信託(ファンド)の一旦の最終回としまして、インデックスファンドの功罪について考えてみたいと思います。このことを考えることによって、アクティブファンドの存在意義を確認して、なぜアクティブファンドにも目を向けるべきか、またなぜ個別の株式投資を行うことに意義があるのかを考えていきたいと思います。


最初に、インデックスファンドへの投資だけでは、本来評価されるべき企業が評価されず、淘汰されるべき企業が市場に残り続けてしまう可能性があり、このことは資本市場においてはプラスには働きません。資本市場には「価格発見機能」があります。インデックスファンドだけへの投資では、この機能は働きませんが、アクティブファンドや個別株式の投資を行うことによって、この機能を機能させることができます。価格発見機能とは、ファンダメンタルズに裏付けされた株式等の価格を市場内外へ迅速かつ正確に伝えることであり、資本市場において果たすべき最も基本的かつ最も重要な役割だと考えられています。また、市場の評価(=企業の株価)は、アクティブに投資を行う投資家が行っていると考えられているため、インデックスファンドはアクティブファンド(個人投資家を含む)がつけた価格にただ乗りをしているとも言われています。


そしてまた、インデックスファンドへの過度な投資は企業ガバナンスの弱体化をもたらす可能性もあります。インデックスファンドに投資を行っても、企業の経営への積極的な参加ということについてはあまり期待ができません。インデックスファンドは指数全体に投資を行っているため、銘柄のスクリーニング機能が働かず、全ての銘柄を購入しているためです。TOPIXなどのインデックスに組み込まれている限り、インデックスファンドはその指標(指数)に組み込まれている会社の株式の購入を続け、そして、ファンドの売却がない限り保有を続けます。アクティブファンドであれば、ガバナンスが機能していない企業に対する監視であったり、銘柄の組替によって投資先企業の株式の売却をしたりすることなどが可能ですが、インデックスファンドにはそれが期待できません(インデックスの構成銘柄から外れない限り、投資先企業として残り続けます)。また、企業が企業価値を上げることに無関心になってしまうのではないかとも言われています。


※投資家が企業の経営やガバナンスに対して積極的に関わっていくことや提言など議決権の行使を通して行っていくことを「Voice」と呼びます。これは、ファンドのような大きな資金を持たない個人の株主でもできることです。配当金をもっと上げることや、目先の目標達成ではなく中長期の成長のための投資を行うことなどの意見表明をできるようになります。また、改善が見られない企業に対して、保有株式を売却することで意思表明を行うことを「Exit」と呼びます。この結果、企業の株価は下がるので、そのことによって経営陣などにプレッシャーを与えることを目的としています。


今回のコラムでお伝えしたいことは、インデックスファンドが悪いということではなく、インデックスファンドが万能ではないという点であることをご理解していただければと考えております。確かに、インデックスファンドはアクティブファンドと比較して低コストで運用できるため長期の資産運用に向いていると言えます。しかし、いくら低コストだと言っても、信託報酬などのコストはかかっています。一方、個別株への投資は保有期間にかかるコストはありませんが(売買手数料などは除いて)、その代わりに投資先の株価の上昇や下落の影響を直接受けるため、銘柄によってリスクは大きくなる可能性もありますので、この点は注意が必要であると思われます。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。