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世界経済 海外企業編 バークシャーハサウェイ社の日本商社株への投資について

世界経済 海外企業編 バークシャーハサウェイ社の日本商社株への投資について

こんにちは。

exit.です。

今回は、バークシャーハサウェイ社の日本の5大商社株への投資について、その背景を推察しながら書いていきたいと思います。


ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャーハサウェイ社は2020年8月31日に日本の5大商社(三菱商事、三井商事、住友商事、伊藤忠、丸紅)の発行済み株式をそれぞれ5%超保有している旨のニュースをリリースしました。ただし、もちろんやみくもに日本株の投資を行ったわけではありません。今回投資を行った商社株は配当利回りが高く、PBR(株価純資産倍率=株価÷純資産)の面で見ても割安であったことや、PCFR(株価キャッシュフロー倍率=時価総額÷営業キャッシュフロー)もかなりの割安と判断される範囲であったことが投資判断に影響したのではないかと思います。バフェット氏の投資手法年は、バリュー株投資なので、日本の5大商社株がそれだけ割安で魅力的な投資先と判断がされたのだと思います。


次に、財務戦略も取り上げたいと思います。バークシャーハサウェイ社は2019年の第3四半期の有価証券報告書にて、円建ての社債を発行していることを報告しています。借入に係る金利は0.6%、借入金額は4300億円としています。さらに、2020年の第2四半期の有価証券報告書ではさらに借入の金額を増額して、6255億円となっていることが確認できます。つまり、金利の低い日本円で社債を発行することにより資金調達を行い、日本の商社株を購入したのではないかと考えられます。こうすることにより、手持ちの現金は確保しながら、新たな投資ができるため有効な戦略だと判断したのだと思われます。

※有価証券報告書の中の財務諸表上ではドル表記のため、注釈などから金額を抜粋しています。


2020年8月31日のニュース(お知らせ)では、今回の日本株式(商社株)の購入の目的について、長期保有であるとしています。さらに、今後は発行済み株式の最大9.9%になるまで取得を進める可能性があることも記しています。9.9%を超えての取得に関しては、取締役会の承認がない限り行わない旨についても書かれています。バフェット氏の、5大商社株への投資を通じて日本の将来に参画できることをうれしく思います、という旨のコメントも読むことができます。


では、なぜバフェット氏が日本の商社株に投資を行ったのでしょうか。割安だったこともあり魅力的に映ったという面もあると思いますが、アメリカの株式市場が上昇を続けた結果、めぼしい企業がことごとく割高な水準になってしまい、投資先として魅力がなくなっていったこと、そして、将来的にインフレが起こる(期待インフレ率の上昇)可能性が高まる中で資源安の結果、株価を落としている日本の商社株が将来のインフレに伴う資源価格の上昇(回復)の中で、株価を戻す(上昇)可能性が高まっていることによるのではないかと考えています。バフェット氏は、金価格の上昇の恩恵を受ける金鉱株であるバリックゴールド社の株式も取得していることから、将来のインフレに対するヘッジをする必要があり、そのヘッジのための投資先の1つとして、日本の商社株に目を付けたのではないかと思います。


バークシャーハサウェイ社のホームページへのリンクです。こちらのAnnual & Interim Reportsをクリックして、対象のレポートをクリックしてもらうと有価証券報告書がご覧いただけます。

https://www.berkshirehathaway.com/


円建ての社債の発行は2019年の第3四半期のレポートで確認ができます。

https://www.berkshirehathaway.com/qtrly/3rdqtr19.pdf


円建ての社債の増加についてはこちらの2020年の第2四半期のレポートで確認ができます。

https://www.berkshirehathaway.com/qtrly/2ndqtr20.pdf


今回の日本の5大商社株の取得についてのニュースリリースはこちらのリンクでご覧いただけます。

https://www.berkshirehathaway.com/news/aug3020.pdf


次回も皆様のお役に立つ情報をお届けいたします。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。