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海外ニュース編 ”60-40”のポートフォリオは機能するのか?

海外ニュース編 ”60-40”のポートフォリオは機能するのか?

こんにちは。

exit.です。

今回は、海外の記事を引用しながら、資産運用におけるポートフォリオについて考えていきたいと思います。参照する記事は、2020年8月3日付のBloombergの「Investors Rethink ‘60/40’ as Low Bond Yields Test Portfolios」です。


アメリカの伝統的なポートフォリオとしては、株式60%、債券40%とされてきました。これは日本においても「80-年齢」を株式のようなリスク性資産に割り当てることが良いと一般的には言われていました。流石に年金2000万円問題があり、そのようなことは言われにくくなっているようには思いますが、それでも日本人の金融資産に占める株や投資信託の割合は約15%となっており、50%ほどが現預金となっていることが内閣府のデータでも示されています。


ただし、この“60-40“のポートフォリオが金融緩和により歴史的な低金利となっているために見直しや再考が必要だと考えられるようになってきています。モルガンスタンレーのAndrew Sheets氏は債券にあてられていた40%をどこに(どの資産に)投資したほうが良いのかを投資家は探さなければならないだろうと述べています。FRBがアメリカ経済を直撃した新型コロナウイルスの影響を緩和して支えるというハト派のメッセージが発信された後に米国債券は記録的な下落をしました。借入に係る経費の削減やなどのコロナ危機に対する非伝統的な政策の展開を含めた政府と中央銀行の11兆ドルにも及ぶ経済刺激策を提供することも影響しています。


投資家が株式投資からの配当金以外にフロー収入を生み出す投資に関して多くのオプションを持っているわけではないことはないとSanford C. BernsteinのInigo Fraser Jenkins氏は述べています。同氏はまた、資産価格が高ければインカムゲインがより重要になるが、どのようにそのインカムを見つけるのかということを問題視しています。結果として、投資家はより大きなリスクを負わなければならなくなっていると考えています。


ゴールドマンサックスのMichael Moran氏は資産配分(アセットアロケーション)についてより創造的に考えなければならず、ポートフォリオの中で異なったことを行わなければならいと考えています。しかし、JPモルガンスタンレーを含めた何人かのアナリストは伝統的な“60-40“のアプローチはまだ有効であると考えています。その理由は、政府の発行する国債が株式とは依然として負の相関関係にあるためです。株式と債券の割合を”80-20”にしてしまうと株式投資のリスクを十分にヘッジできないと考えているためです。


モルガンスタンレーのSheets氏は株式と現金の割合を“60-40“にしたポートフォリオでも同じようなボラティリティの現状をもたらし、流動性の利益を得ることができると述べています。これを、金を40%にしたポートフォリオの場合には現金の場合のポートフォリオよりも価格変動がより大きくなると述べています。今まで機能していたポートフォリオが機能しなくなっている局面になっていることに触れて記事は締められています。


債券価格の高止まりが債券利回りを低下させ、されに歴史的な量的緩和策をアメリカに限らず多くの国で採用しているため、金利が低下し、それがリスク性資産(株式など)に多くの資金が流れる結果となっています。資産を分散させることが投資におけるリスク分散の基本ですので、株式とは異なる値動きを持つ資産への投資を債券以外で考えなければなりません。今回引用した記事でもそうですが、選択肢は多くはないかもしれませんので、現金で保有しておくことも1つのリスク管理だと思います。ただし、大胆な財政政策や金融政策の代償としてインフレが発生する可能性も高まっているとみられるために、何にも投資をせずに現金で保有しておくことにもリスクがあることを考慮に入れなければならないという非常に難しい局面であると感じています。


以下が今回紹介しました記事へのリンクです。興味があれば是非お一読いただければと思います。記事の中にはグラフもあるので視覚的にもわかりやすいと思います。

https://www.bloomberg.com/news/articles/2020-08-02/investors-rethink-60-40-as-ultra-low-yields-test-portfolios


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと思いますので、宜しくお願い致します。


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