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政治経済 世界のニュース編 マイナス金利が投資家をリスクに向かわせる

政治経済 世界のニュース編 マイナス金利が投資家をリスクに向かわせる

こんにちは。

exit.です。


今回は、2020年7月27日のBloomberg Marketsより、「World’s Rising Stock of Sub-Zero Debt Has Investors Adding Risk」を取り上げたいと思います。新型コロナウイルス感染症は世界中に広がり深刻な経済的な打撃を様々な国に与えています。各国が財政政策や金融政策を通じて何とか経済を下支えしているような状況です。各中央銀行が積極的に金利の引き下げや量的緩和などの金融政策を行っている結果として、債券の利回りが限りなく低い(もしくはマイナスの利回り)状態になっています。債券投資で利回りが求められない結果として、株式を中心としたリスク性資産に投資の資金を向かわせている側面があることは、現状否定ができないと思います。以下に、部分訳を載せていますので、ご興味のある方は、原文(英語)にも挑戦をしてもらえればと思います。


マイナス利回りの負債が世界的に積み上がっており、1兆5千億ドルを記録しています。その結果、投資家はより大きなリスクを追及する投資行動を引き起こしています。新型コロナウイルスによる危機と中央銀行による資産の買い支えによって、債券マーケットへの投資によるリターンの獲得は厳しくなっています。


Nordea Bank Abp.のチーフストラジストのJan von Gerich氏は「すべてのドイツの債券は0%以下で、最もリスクの高いと考えられているイタリアのいくつかの債券でさえ0%以下になっています」と述べています(一部抜粋)


中央銀行は新型コロナウイルスによる経済的なダメージを軽減させるために債券市場に記録的な資金を供給しています。欧州中央銀行はパンデミックプログラムの合計で1兆3500億ユーロ(1兆5800億ドル)になっており、一方でFRBは毎月800億ドルの債券の購入を行っています。金融市場のトレーダーたちはイングランド銀行が金利を来年の3月までに0.1%から0%に切り下げる前提でとプライシング(価格付け)をしています。ドイツの10年物国債の利回りはマイナス0.48%、イギリスと日本の債券は7年物までの利回りは0%を下回っています。


この潮流は世界的にも社債にも反映されています。マイナス利回りのユーロ建ての社債は、ブルームバーグのまとめているデータによると267百万ユーロに達しています。国債市場では利回りが低下しているため、より多くの投資家が信用リスクを取り社債に投資する結果として、より多くの社債をマイナスの利回りにすると予想されています。Bank of Americaのアナリストは、ゼロ以下のユーロ社債の残高が5000億ユーロに跳躍すると予想しています。「中央銀行の対応は、パンデミックの恐怖のピークが消えても継続する可能性が高いため、このマイナスの利回り環境は、投資家が慣れ、適応しなければならないことを意味します」と、Union Bancaire Priveeのポートフォリオマネージャー、Mohammed Kazmi氏は述べています。


記事の中でも、再三出てきていますが、各国の中央銀行が政策金利を引き下げ、金融緩和を実施している結果、債券投資家にとってはリスクを取って投資を行わないとリターンが得られない、信用のリスクを取ってさえ低いリターンになってしまうという現状があります。債券による投資ではリターンが得られない結果、債券投資の選択肢がなくなり、株式や金のようなコモディティの価格が大きく値上がりしたりしています。リーマンショックのようなときの相場とは異なるため、今までと同じ考え方や方法では安定的に利回りが出せなかったり、リスクヘッジができなかったりする可能性もあるために、慎重さが求められるマーケット状況だと思われます。


以下が今回の英文記事へのリンクとなっておりますので、ご参考までにご覧いただければと思います。

https://www.bnnbloomberg.ca/world-s-rising-stock-of-sub-zero-debt-has-investors-adding-risk-1.1471253


※本記事を執筆時にはアメリカの失業保険の特別給付が延長されるのかどうかはまだ決定はされていません。特別給付の延長がない場合や、大幅に減額されるとなった場合には、株式市場は大幅な調整を余儀なくされるかもしれませんので、注意が必要だと考えています。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。