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政治経済 経済編 実体経済と金融経済について

政治経済 経済編 実体経済と金融経済について

こんにちは。

exit.です。

今回は実体経済と金融経済について取り上げていきます。


特に直近の新型コロナウイルスによる株の急落からの急騰を受けて、実体経済と金融経済の間のギャップが注目をされているように思います。そこで、今回は実体経済と金融経済の違いとそれがどのようにお互いに関わっているのかを書いていきたいと思います。


実体経済とは、生産者と消費者が財・サービスとお金を交換する活動のことです。モノやサービスとお金の交換の規模が金額という数値で表されます。よく使われるのが、GDP(国内総生産)です。GDPが上がれば経済成長をしており、GDPの伸びが停滞しているもしくはGDPが低下していれば経済がマイナス成長している、となります。普段景気の良し悪しを語る際など、一般的にはこちらを意味することが多いです。


金融経済とは、お金を借りたいと思っている人とお金を貸したいと思っている人がお金を貸し借りする活動のことです。企業の場合ですと、銀行からお金を借りるのが間接金融、株式の発行などの場合は直接金融と呼ばれます。株価などの資産の値動きも金融経済と一緒に語られることが多いです。


本来であれば、金融経済は実体経済の補助役のようなものです。お金を必要としているところにお金を貸して、企業が財やサービスの提供を継続して(もしくは新規で)できるようにしていくのが金融経済の役割だからです。そして、財やサービスを消費者である私たちが購入・消費することで実体経済(GDPを消費により押し上げる)に影響を与えることになります。


しかし、近年(特に新型コロナウイルス発生以降)では、実体経済と金融経済の乖離があまりにも大きくなっているのではないか、という論調が増してきています。日本でも一時期話題になったトマ・ピケティ氏の「21世紀の資本」でも、長期的に見て資本収益率(r)が経済成長率(g)よりも大きくなっている、ということが論じられていました。r>gとなっている現状では、実体経済の伸びよりも金融経済の規模の拡大のほうが大きくなるため、それがさらなる金融資産の上昇という結果を招きます。現在では、実体経済におけるお金の流通よりも、金融経済におけるお金の流れのほうがはるかに巨大になっています。


本コラムを執筆の段階では、新型コロナウイルスの問題は特に何かが解決されたようには見えません。いまだに感染者が一部の国(特に途上国)においては増加しており、それにより死者数も増えている状態です。アメリカでも、黒人差別に対するデモが発生した結果、コロナの感染者数が増加しています。そして、ワクチンなどの開発はニュースで度々触れられますが、開発に成功したという決定的なニュースは出てきていません。さらに、第2波や第3波を引き続き各国が警戒をしている中で、人の動きが以前ほど活発になっているわけでもありません。経済活動自体は多くの国で再開されましたが、実体経済が受けている(もしくは受けた)損失からはまだ立ち直っていません。そのような中で、株式などの金融資産の価格が上がっている状態なので、違和感があるように思います。実体経済からかけ離れた金融経済はいつか崩壊するかもしくは大幅な調整を余儀なくされるのではないかと考えています。


今回のコラムで実体経済と金融経済の乖離についての内容はIMFのGFSR 改訂報告書(6月)の中でも書かれていることでもあります。以下にリンクを貼っておりますので、ご参考までにご覧いただければと思います。
https://www.imf.org/ja/Publications/GFSR/Issues/2020/06/25/global-financial-stability-report-june-2020-update


最後に余談になりますが、この実体経済と金融経済においては、英語ではよくMain Street and Wall Streetと呼ばれます。Main Streetが実体経済のことで、Wall Streetが金融経済の中でも特に株式などのことを言います。海外のメディアではたまにこのような表現を見ることがあるので、覚えておくと海外の情報に触れる際に意味が分かりやすくなると思います。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきたいと思います。


※本コラムは情報の提供を目的としています。個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はくれぐれも自己責任でお願いします。