NEWS

海外情報 投資知識編 過去の実績対将来の予測

海外情報 投資知識編 過去の実績対将来の予測

こんにちは。

exit.です。


今週は、Financial advisorの2020年3月2日の記事から”Use Past Returns Or Future Estimates?”をご紹介したいと思います。私たちが投資をする際に参考にするべきは過去の実績の数値なのか将来の予測の数値なのかを考える際の参考としてもらえればと思います。


投資信託では、過去の実績は証券会社やモーニングスター株式会社のホームページで確認ができます。ただし、ホームページより得られる情報では、将来の予測については確認ができないため、過去の実績や、投資対象となっている資産(株や債券など)や投資対象の国(アメリカやインドなど)の将来性、ファンドの運用報告書などで確認して将来の運用成果の予測を立てる必要があります。


また、株式であれば、売上や利益の予測値や予算などのデータが(すべての会社で公表されているわけではありませんが)利用可能となっていますので、それを基にすれば、ROEやEPSなどの各種指標を計算することが可能(計算されているケースもあります)になるため、現在の指標の数値と比較したり、現在の市況・業況などの景気観と照らし合わせたりしながら投資の意思決定を行うことになります。


債券投資をしている場合であれば、利率(表面金利)が変更されることは基本的にはないと考えると、将来発行される債券の利率と各種利回りについて計算をしながら、過去の実績と将来の予測運用利率について考えていくことになります。将来の予測については債券を発行している国や企業の先行きを見ながら決めていくことになります。


記事の中では、最初に米国の国債の将来の利回りをモンテカルロシミュレーション(乱数を利用した確率実験で、資産運用の利回りや運用結果のシミュレーションに対して利用されることもあります)でシミュレーションした結果があまりにも現実離れしているのではないか、ということで議論をオンライングループで行ったというエピソードが紹介されています。国債などの債券の利回りは将来のリターンと高い相関関係を示していることが紹介されています。例えば、5年で利率が1%の債券を買えば、5年後の将来のリターンも1%に近い数値になります。しかし、株式の場合はもう少し複雑になることが記事の中で説明されています。なぜなら、将来のリターンを予測するのに最適なものが存在していないためです。PER(株価収益率)などの株価の指標では将来のリターンを予測するための十分な根拠とはなっていません(PERは1926年から2011年の株式のリターンの40%ほどしか説明ができない、と記事の中では書かれています)。


過去の実績か将来の予測かのどちらかのみを選択するのではなく、予測に使用するリターンのパーセンテージを少し下げることが一番人気のある方法だと伝えています。これとは別のアプローチの方法として紹介されているのは、最近の低い債券利回りを反映して、近い将来のリターンに関しては低めに利率を設定して、より長い長期的な利率を考える際に過去の水準に近い利率を採用するというものです。今回ご紹介している記事はアメリカのものなので、日本の場合には当てはまらない場合もありますし、日本とアメリカではリタイアメントの備えやリタイアメント後の過ごし方などのライフスタイルも違います。あくまでご参考までにとどめておいてもらえればと思います。


投資のリターンを考えるときに使用するべきは、過去の実績なのか、将来の予測なのか、答えはなかなか単純には出ないものです。現在は、コロナウイルスによる影響で前例のない事態になっていますので、将来の予測を立てながら、コロナ後の経済に関しては過去の実績を見ながら考えることが大切だと考えています。なので、どちらかだけを使用するというのではなく、過去の実績を参考にしながら、IMFなどが出している世界の経済成長率などを将来の予測を参考にしながら考えてもらえればと思います。


以下のリンクが今回ご紹介した記事です。

https://www.fa-mag.com/news/use-past-returns–or-future-estimates–a-conundrum-54271.html


次回も皆様のお役に立つ情報を発信できればと思います。