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政治経済 SDGs編 第2回目

政治経済 SDGs編 第2回目

こんにちは。

exit.です。

今回も先週に引き続きましてSDGsについてです。


前回にも書きました通り、Financing for Sustainable Development Report 2019にあるトピックの中から気になるものを選んで書いていきたいと思います。ちなみに、このレポートは全部で約180ページあります(表紙や前書きを除いています)。


第1章では、世界経済に対する見通しやリスク(Outlook and risks for the global economy)や雇用や不平等に関する見通し(Employment and inequity outlook)などについて触れられています。2020年の世界の経済成長は2019年の見通しと同じ3%となる見込みだが、その成長は国や地域によってばらつきが大きくむらもある状態であり、そして世界経済の下振れのリスクは高くなっており、政策金利が低い今の状態で外部要因による危機が起こった際の政策としてとれる政策の余地が狭くなっている、と書いています。雇用に関しては、世界的に現在は失業率が低い状態にあります。しかし、所得分配の不平等さを図るジニ係数は先進国では上昇傾向にあります。世界的に、各中央銀行が金融緩和を行っていたり、金融引き締めを過度に恐れた結果、政策金利が低くなっている現状があり、賃金に関しては上がりにくい景気状況が続いている一方、金融資産に投資している層に関しては、金融資産の上昇の恩恵を受けていることがジニ係数の上昇に一役買っている面もあると思います。


第3章Bの「国内および国際民間企業及びファイナンス(Domestic and international private business and finance)」の中にESGが頻繁に出てきます。ESGとはEnvironmental, social and governance(環境、社会そして企業統治)のことです。ESG投資はSDGsにおいても重要な役割を果たすと考えられています。環境に配慮した製品やサービスを提供し、社会的に有意義な活動をして、そして企業統治がしっかりとできている企業の業績や株価のパフォーマンスが、そうではない企業よりも業績や株価のパフォーマンスを伸ばすだろう、という考え方に基づいています。ESG投資の中には社会的事業を行う企業やファンドなどに積極的に投資を行うインパクト投資や官民連携してのインパクト投資であるソーシャルインパクトボンド(SIB)などがあります。


ただ、ESG投資においての注意点もあります。ESGを構成する要素には即時には効果が出てこない(効果が見えにくい)ものが多く、株などのパフォーマンスを考える際には投資家の投資期間に依存していることがレポートの中に挙げられています。それ以外にも個別株式投資の際には、財務情報以外にも非財務情報にも目を向ける必要があるため銘柄選びに時間がかかる場合や、ファンドを選ぶ際には、本当にファンドがESG投資にふさわしい銘柄を組み込んでいるのかをきっちりとみる必要があります。


第3章Gの「科学、技術、イノベーションそして能力構築(Science, technology, innovation and capacity building)」の中には、フィンテックに絡むものもあります。新たな金融商品や金融サービスには信用リスクなどのリスクがあるとレポートでも指摘されていますが、フィンテックやその分野に参画する企業には既存のビジネスモデルを変革するような役割が期待されています。発展途上国の中には、銀行のような金融サービスにアクセルできない人たちがまだまだいます。ただ、そのような人たちの中にも携帯やパソコンなどのインターネットにアクセスできる環境にいる人たちがいます。フィンテックに期待されるのは、銀行サービスにはアクセスできないが、携帯などでインターネットにアクセスできる人たちに、金融サービスを提供できるようにすることです。そしてまた、海外などに出稼ぎに行っている人たちが本国などに送金をする際の手数料を安くすることもフィンテックには期待されています。


また、新しい技術が様々な金融商品・サービスや企業にも影響を与えています。例えば、AIやビッグデータの分野は詐欺の検知やクラウドファンディング、暗号化の分野では取引時の個人情報を含めた情報の保護や携帯機器からのインターネットのアクセスは、デジタルウォレット(e-Wallet)に応用されています。


ここでは、レポートの中からいくつか気になる箇所だけを取り上げて書いてみました。英語にはなってしまうのですが、前回に引き続きリンクを下に張っておきます。

https://developmentfinance.un.org/fsdr2019


次回も気になるニュースやトピックを取り上げていきたいと思います。