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政治経済 経済理論編 MMT

政治経済 経済理論編 MMT

こんにちは。

exit.です。


皆様はMMTについてご存じでしょうか?

今回は政治や経済のニュースでたびたび話題になっているこの理論を取り上げたいと思います。


MMTとはModern Monetary Theoryの略で現代貨幣理論と訳されるものです。

(一部ではMore Money Theoryと揶揄する向きもあります。)


「グリーンニューディール政策」を掲げたアメリカのアレクサンドラ・オカシオ・コルテス下院議員がこの理論を取り上げて政策実行のための根拠として支持したことで、論争を巻き起こし、日本でも注目を集めている理論です。アメリカではニューヨーク州立大学の経済学者ステファニー・ケルトン氏らが提唱しており、日本では三橋貴明氏などが支持しています。


このMMTの理論と中心となることは簡単にまとめると以下の点になります。

1. 税金や国際の発行に頼らずに、政府支出(財政支出)を行うことができる。

2. 政府は自国建ての通貨で国債を発行している限りデフォルト(破綻)に陥ることはない。

3. 課税と国債の発行により、デマンドプル型のインフレに対応することができる。これは、課税や国債の発行で、市場から余剰資金を取り除けるので、インフレを抑制することできる、という考えです。

4. 信用創造とインフレ下の購買は制限されるが、経済資源(労働力など)が完全雇用によって活用されると経済活動を加速させることができる。

5. 債券発行による貯蓄不足に対処する民間部門と競合はしない。


MMTは、有効需要を重視するという意味では、ケインズ経済学の流れを汲んでいる理論とみなすこともできるかもしれません。ただし、財政赤字を補うために政府の貨幣(通貨)の発行を主張している、という点はMMT独特のものです。


そして、この理論に対する日本でよくみられる批判としては、

1. MMT信者は政府のインフレをコントロールする能力を過信している。資産バブルが起こった時に、政府はバブル経済を防ぐことはできなかった。MMTを実行するときだけ、コントロールできると考えるのは都合がよすぎるのではないか

2. 適用できる国が限られるのではないか。基軸通貨となっているドルを発行できるアメリカや金利が低い状態でデフレ(インフレ率の低い)になっている日本くらいではないのか

3. ハイパーインフレが起こる可能性を無視しているのではないか

などがあります。


日本の政府としては、安倍晋三首相と黒田東彦日本銀行総裁の両名が、自分たちは基礎的財務収支(プライマリーバランス)を達成に向けて政策運営している点に言及しており、MMTを支持しているわけではないとして、「日本がMMTのケーススタディ国である」とするMMT理論の支持者とはスタンスが違うということを示しています。また、麻生太郎財務大臣も「日本をMMTの実験場にする気はない」として否定しています。主要な経済学者たちもハイパーインフレの可能性を指摘するなどして、MMTを否定しています。


ただ、この理論によれば、財政破綻(デフォルト)まで追い詰められたギリシアとそこまで追い詰められていない日本の違いの説明はできそうです。


日本もギリシアも対GDP比100%超の大幅な負債を抱えており、巨額の財政赤字を抱えているという点から比較される国です。ただ、両国の違いは、ギリシアは国債をユーロにて発行し、外国(人を含む)が所有していましたが、日本は日本で国債を発行し、さらに、国内の投資家(個人投資家や銀行など)が保有していることにあります。このことは、MMT理論の中心で書いた2.の政府は自国建ての通貨で債券を発行している限りデフォルト(破綻)に陥ることはない、という点と整合性がありそうです。


※日本には、円を発行できる権利(政府は貨幣鋳造権、日本銀行が銀行券の発行権)を持っていますが、ギリシアの政府にはその権利がありません(権利を持っているのは欧州中央銀行です)。


主要な学者は、MMTへの批判を行っていますが、この理論がデフレや不況に苦しむ国を救う本当に正しい理論なのか、それとも国を間違った方向に進ませる間違った理論なのかの結論を出すのには、まだ時間がかかるかもしれません。


今後も気になるニュースなどがあれば、取り上げていきたいと思います。