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世界経済 2023年10月~11月の日米欧の金融政策会合のまとめ

世界経済 2023年10月~11月の日米欧の金融政策会合のまとめ

こんにちは。

exit.です。

今回は、2023年10月26日に開かれたECBの政策理事会、10月30日~31日に開かれた日本銀行の金融政策決定会合及び10月31日~11月1日にかけて開かれたFOMCについて取り上げたいと思います。


最初に、ECBの政策理事会について取り上げます。今回の理事会では政策金利の利上げは行わずに主要政策金利を4.50%で据え置く決定を11会合ぶりに行いました。ユーロ圏では、ドイツをはじめとした主要国の景気後退のリスクが意識され始めていますが、インフレ率については政策目標である2.0%を上回る状態が続いています。ただし、インフレ率(CPI)については2022年の10月の11.5%をピークとして2023年9月の4.9%まで低下してきています。金利水準はすでに十分であるとの考えから今回は利上げ停止となったようです。


次に、日銀の金融政策決定会合ですが、こちらは長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)の再修正を決定しました。これまでは10年国債が事実上は1.0%となっていましたが、修正後は1.0%を目途とし、YCCの運用を柔軟化しました。以前のYCCの修正は7月の会合だったので、およそ3か月での再修正となっています。1.0%を目途としているのは、特定の利回り水準をあらかじめ定め行うのではなく、市場環境に応じて(日銀が判断して)実施していくスタイルに変更となったためです。声明文では、粘り強く金融緩和を継続する方針であることが出ているため、YCCの再修正があったとはいえ、全体的にはハト派的な内容であったと考えられそうです。YCC再修正の背景にはアメリカの金利状況や日本の物価見通しの引き上げの影響が強かったと判断できそうです。インフレ率については、今は2.0%を超えていても、2025年には物価上昇率は日銀の目標とする2.0%を下回るとの見通しを出しています。FRBもインフレは一時的であるとして、判断を間違えたといわれていますが、日銀も同じ過ちをする可能性はゼロではないように思います。


最後に、FOMCについて取り上げます。今回のFOMCでは政策金利の引き上げは行わず、2回号連続の据え置きとしました。声明文では、長期金利の上昇を念頭に置いた金融環境の引き締まりについて言及をしています。アメリカの10年国債の利回りは9下旬に4.50%を超え、10月中旬からは4.9%を付け、一時5.0%を超える利回りを記録しました。コラム執筆時には4.5%代になっていますが、金利動向についてはまだまだ注目される状況が続くと考えられます。パウエル議長は、今後の利上げについて問われた際、明確な発言はしませんでしたが、追加利上げについては否定をしなかったことで、選択肢としては残している状態です。長期金利の変動については、インフレ率や景気の強さ以外にも、バイデン政権によるアメリカ国債の大規模な発行も影響しています。このまま大規模な財政赤字を伴う政策を行えば金利の上昇圧力は高いままとなってしまいます。次回の大統領選挙の候補者には財政政策の規律を求める声もあり、財政政策に注目が集まるかもしれません。


IMFの経済見通しのレポートでは、経済成長の見通しを下方修正しましたが、今起こっている中東問題は加味されていないものでした。この問題が長引けば世界経済の見通しのさらなる下方修正が次回のレポートで示される可能性があります。また、インフレ率の見通しにも悪影響を与えると判断されれば、金利の高止まりが予想以上に長引く可能性も考えなければならないかもしれません。まだまだ不透明で不確実性の高い状況が続くことには注意が必要となりそうです。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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