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投資の基礎 為替レートの決定理論の紹介

投資の基礎 為替レートの決定理論の紹介

こんにちは。

exit.です。

今回は、為替相場(為替レート)の決定理論についていくつか取り上げたいと思います。


一般的には、為替レートは短期的には金利差で動き、中期的には貿易収支(もしくは経常収支)で動き、長期的には一物一価(もしくはインフレ率)に従って動くと言われています。


為替レートは金利で動くという理論は、「金利平価理論」と呼ばれています。異なる国の金利水準が為替レートに影響を与えるという理論です。この理論では一般的に、金利が高い国の通貨が低い国の通貨に対して(金利が高い国の通貨で運用することでより多くの利益が得られるなどの理由から)魅力的となり、投機的及び投資的な高金利国の貨幣の需要が高まることになります。このため、2国間の金利差が為替レートに影響を与え、金利平価が形成されると考えられています。結果としては、金利の低い国の通貨は売られ、金利の高い国の通貨が買われる、ということになります。この「金利平価理論」の考え方を進化させたものが「実質利子率差理論」と呼ばれています。この理論ではインフレ率の差異も考慮に入れ、金利だけでなく、通貨の購買力の変動も考慮することで、より現実的な為替レートの変動を説明しようとします。実質金利については、実質金利=名目金利-期待インフレ率で表されるため、期待インフレ率が高まる一方名目金利が上昇しなかった(金融引き締めを行わなかったなど)場合、実質金利はマイナスになります。実質金利がマイナスで物価上昇率に負ける国の通貨よりも、実質金利がプラスで物価上昇率に勝る国の通貨で運用するほうが有利となりますので、実質金利が高い国の通貨が強くなり、その逆の国の通貨は弱くなるということになります。


貿易収支(もしくは経常収支)で為替が動くとする考え方は、「バランス・オブ・ペイメントモデル」とよばれています。輸出と輸入のバランスが為替レートに影響を与えるという考え方です。国の経済活動と国際取引の収支が為替レートの形成に寄与するとする考え方です。貿易赤字の国は自国の通貨を売って外貨を買い、その外貨をもって輸入の支払いに充てるため、継続的に自国の通貨を売って外貨を買うことになります。その結果、自国通貨安、外国通貨高ということになります。また、貿易収支は赤字でも経常収支は赤字と言う場合や、貿易収支は黒字でも経常収支は赤字という場合もあります。貿易収支は実際のお金の受払(輸出入)があるためわかりやすいですが、経常収支は海外の投資からの収益のためそのまま現地で再投資される可能性がありますので、実際の動きはわかりにくいところがあります。


購買力平価理論(PPP理論:Purchasing Power Parity:理論)は、商品バスケットの価格が異なる国で同じ(=一物一価が成り立つ)とあると仮定し、それに基づいて為替レートが形成されるという理論で、為替レートは長期的には物価水準の差異に等しく調整されると考えられます。インフレ率が高い国とインフレ率が低い国では、インフレ率の高い国の通貨の方がインフレ率の低い国の通貨と比較して貨幣価値の下落が大きく、その結果、インフレ率の低い国の通貨の方がインフレ率の高い国の通貨と比べて強くなります。ただし、この理論は現実には発生する輸送コストなどを無視しているため成り立たないとする考えもあります。


今回、為替レートの決定に関する理論について取り上げましたが、実際の為替の動きは、複数の要因からの影響を受けます。その要因がどのように市場心理や通貨を発行する国の経済、世界の資金の流れに影響を与えるかによって、為替の動き方は変わってきます。人口や経済成長もその要因の一つではありますが、すべてではないことには注意が必要です。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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