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世界経済 ベトナム編 第5回目

世界経済 ベトナム編 第5回目

こんにちは。

exit.です。

ベトナムの記事も今回で最終回となりました。

最終回となる今回は、ベトナムの金融や通貨についてです。

National Citizen Commercial Joint Stock Bank の定期預金の金利

写真はとある銀行の定期預金の金利の看板なのですが、ベトナムドン建てで定期預金を組むと年8.5%となっています。他の銀行でも7%台や8%台でした。その一方、米ドルで定期預金を組んでも利息が付かない0%となっているものが多く見受けられました。また、HSBCのような外資系の銀行では定期預金の金利2%台や3%台でした。なぜこのようなことになるのでしょうか?


その答えは、「信用力」です。ベトナムドンの貨幣としての信用力が低いため、金利が高く設定されているからです。仮に米ドルに金利が付くような状況になれば、米ドルで預金をする人が増え、ベトナムドン安米ドル高の状況を生み出します。新興国の通貨安は下手をすると通貨危機に結びついてしまいます。


また、ベトナムの銀行と外資系の銀行で金利が違うのは、外資系の銀行は信用力が高く、金利を多少低く設定していても、お金を預けてくれる人がいる一方で、ベトナムの地銀などは金利を高く設定しないと、お金が集まらない状態になっていることが考えられます。定期預金の金利は銀行が資金調達をする際の金利と考えられます。なので、金利が高いということは信用力が低い、ということの裏返しであると考えられます。


※国際金融論において、為替レートを決定する要因としては、

①短期的には2国間の金利差

②中期的には経常収支

③長期的には一物一価の法則

があるとされています。


例えば日米の金利を考えた際に、米国で利下げをすれば、金利差が縮小し、円高ドル安の要因となります。ここでは、ベトナムドンと米ドルでの定期預金の金利差が大きいので、ベトナムドン高米ドル安になるようにしていると考えられます。つまり、米ドルに金利が付くようになると、2つの通貨の間で金利差が小さくなり、ベトナムドン安米ドル高になってしまいます。


全5回にわたってお伝えしましたベトナムのレポートですが、いかがだったでしょうか?ベトナムという国にもベトナムの通貨にも問題はありますが、長い目で見た際の投資対象国としては、可能性があるように思います。ただし、投資をする際は、ご自身のリスク許容度を測り、出口戦略を慎重に考えながら投資されることをお勧めします。(もちろん、出張の機会があれば、また情報のアップデートをしたいと考えています。)


次回からは、シンガポールの視察で得た情報を皆様に共有できればと思います。ここまでお読みいただきましてありがとうございました。