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世界経済 ジェローム・パウエル氏のジャクソンホールでの講演内容について

世界経済 ジェローム・パウエル氏のジャクソンホールでの講演内容について

こんにちは。

exit.です。

今回のコラムでは、8月25日~27日にかけて行われましたジャクソンホール会議の中でのジェローム・パウエル氏の講演の内容についてみていきたいと思います。


パウエル氏の講演は、現地では8月26日の午前8時から行われました。今回の講演の特徴としては、講演の中でもパウエル氏が言っていますが、時間は短く焦点を当てる分野は狭くそしてメッセージは直接的なものになっている点です。


パウエル氏の講演の内容としては、次のようなものでした。「FOMCの目標はインフレ率を2%に引き下げることにあり、その結果、労働市場の悪化を通じて家計や企業にとって痛みを伴うものになるが、物価の安定が取り戻せなければより大きな痛みを伴うことになると考えている。FF金利(政策金利)の2.25%~2.50%は(一時)停止をするような水準ではなく、9月の利上げ幅については7月の会合以降のデータ次第となる。経済は引き続き底堅い状態であり、労働市場は特に好調だが、需要と供給のバランスを欠いたものとなっている。金融菱決めが進むにつれ、将来のある時点では引き締めのペースを緩めることが適切となるだろう。金融政策の検討と決定関して、1970年代から1980年代を参考とし、3つの重要な供給を活用している。1つ目は、中央銀行は安定的な物価上昇を実現する責任を負うことができ、またその責任を負うべきであるということ。2つ目は、国民の将来のインフレに対する期待が重要な役目を果たすことになるということ。最後の3つ目は、物事をやり遂げるまで続けなければならないということ。これらの教訓がインフレ率を下げるための有効なツールであることを示している。」


講演の中で、特に印象的だったのがポール・ボルカー氏の名前を出していたことです。ボルカー氏がFRB議長を務めたのは、1979年~1987年で、特に70年代と80年代初頭は高いインフレ率によって、アメリカ経済が苦しんでいた時期でした。この時代はまた「株式(投資)の死」とも呼ばれていました。ボルカー氏は10%を超えるインフレを抑えるために何度も大幅な利上げを行い、失業率も金融引き締めの結果10%を超えることとなりましたが、1983年にはインフレ率は3%台となり失業率も低下させるなどの成果をあげた人です。今でも歴代FRB議長の中で最も尊敬されている人物でもあります(ちなみに最低なFRB議長として名前が挙がるのはアーサー・バーンズ氏です)。

※アメリカでは1%の利上げは今まで8回行われたことがありますが、そのうちの7回はボルカー氏がFRB議長を務めた時代に行われています。


パウエル氏の講演を受けて株価は大きく下落し、8月26日の終値ではNASDAQは-3.94%、S&P500は-3.37%、ダウ平均株価は-3.04%となりました。今までマーケット側が織り込んでいたインフレの鎮静化及び来年からの利下げが否定され、来年も金利水準は高止まりすることが方針として示されたことによって、債券価格の下落し、10年国債の利回りは一時期3.1%を超えることとなりました。9月の0.75%の利上げ予想を行う市場関係者も多くなっており、株を買いにくい状況が続くことになります。コロナショック以降から投資を始めた人たちにとっては初めての調整市場(ベア市場)となりますが、今回の下げ相場を乗り切れば、投資家としての経験を積むことになりますので、相場に残り続けることを念頭に、レバレッジをかけている(特にかけ過ぎている)場合には、損失を確定させることになっても将来のリスクを避けるためにレバレッジ比率を下げ、現金比率を高めたり債券や金などの株式以外の資産への分散を行ったり、保守的なポートフォリオに組み直すことも選択肢として考慮してもらえればと思います。


2022年のジャクソンホール会議の内容については以下のリンク先で確認することができます。今年のテーマは”Reassessing Constraints on the Economy and Policy(経済や政策の制約要因の再評価」)”でした。

https://www.kansascityfed.org/research/jackson-hole-economic-symposium/


FRB議長のジェローム・パウエル氏の講演内容については以下のリンク先で確認することができます。長さとしては10分に満たないくらいの長さでしたが、市場に大きな影響を与えた内容となっています。

https://www.federalreserve.gov/newsevents/speech/powell20220826a.htm


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。


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