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世界経済 5月のFOMCの内容について

世界経済 5月のFOMCの内容について

こんにちは。

exit.です。

今回は、5月3日~4日に開かれたFOMCの内容について見ていきたいと思います。


ジェローム・パウエル議長の会見では、冒頭からインフレ率が高すぎることへの懸念を示すものとなりました。インフレ率を政策目標とする2%に近づける(戻す)ために必要な政策・手段(道具)を使うことに焦点を当てていくということが語られました。インフレリスクとしては、ロシア・ウクライナ間での戦争もですが、中国のロックダウンによる影響もあるとしています。


景気に関しては、家計や企業の財務や企業業績が好調であること及び労働市場が非常にタイトであることから、リセッション(景気後退)入りはせず、軟着陸する可能性が高いという認識をパウエル氏は示しています。60日~90日前に政策運営の方針を前もって伝えるフォワードガイダンスについては実行することが難しい状況であるとの認識も示しており、経済情勢やデータを見ながらその都度判断する余地を残す形となっています。ただし、FRBの考えは可能な限り明確に伝えていくようにしたいとしています。


政策金利については、0.5%の利上げを行い、政策金利の幅を0.75%~1.00%としました。また、6月での0.75%の利上げに関しては積極的には検討をしていないとジェローム・パウエル議長は述べています。政策金利の目標は継続的に引き上げていくことも併せて表明しているため、今後複数回は0.5%ずつの利上げが行われる可能性があります。


また、FRBの発表ではFRBのバランスシートの縮小についても触れられました。6月1日より3か月の間は、米国債を月に300億ドル、MBS(住宅ローン担保証券)を月に175億ドル削減し、9月以降は国債を月に600億ドル、MBSを月に300億ドル削減していくことを発表しました。削減方法としては、債券や証券の売却ではなく、償還された償還金を再投資しない方法によることも示されました。


会見全体をまとめると、インフレ率があまりにも高すぎること、政策金利の引き上げを継続して続けていくこと、労働市場は非常にタイトであること、インフレ率を政策目標である2%に近づけるために手を打っていくこと、家計や企業の状況は良く金融引き締めに適した状況であること、ただし不透明性は高く状況によっては臨機応変に対応する必要があること、となると思います。


次回のFOMCは6月14日~15日に開催されます。最近の株価の下落を受けてハト派的な発言を行うのか、それともインフレ率を抑えるためにタカ派的な姿勢を崩さないのかが注目されます。アメリカでは家計の金融資産の多くが株式などのリスク性資産で運用されているため、株価の下落が続く場合には家計に与える影響を無視できない(消費活動に影響が出る可能性がある)ため、株価は無視できる要因ではないとの考え方もあります。また、市場関係者の予測は、いまだに0.75%の利上げの可能性を織り込んだままだという意見もあります。つまり、市場関係者はFRBの経済については軟着陸できると言う言葉を信じておらず、インフレを鎮めるためには更なる利上げが必要になると考えていると捉えることが出来そうです。


本コラムが公開される5月11日にアメリカの4月のCPI(消費者物価指数)が公表されます。事前の予測では8.1%となっており、4月に公表された3月のCPIの8.5%よりかは少し低くはなっていますが、依然として高い数値予測となっています。ここでのインフレ率次第では、やはり更なる強力な金融引き締めが必要だと判断されることになるかもしれません。その場合には、株価は更なる下落となり、金利の更なる引き上げが意識され債券価格も下落(利回りの上昇)することになる可能性があるため、注意が必要だと考えられます。ただし、景気の後退が意識されれば債券価格は上昇(利回りの低下)となる可能性もあるため、債券価格や利回りの動きにも注意が必要となります。


パウエル議長の会見の様子の映像やその他資料はFRBのページにアップされています。

https://www.federalreserve.gov/newsevents.htm


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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