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世界経済 FRBの金融政策に間違いの可能性はあるのか

世界経済 FRBの金融政策に間違いの可能性はあるのか

こんにちは。

exit.です。

今回は、FRBの金融政策についての政策ミスのリスクについて考えていきたいと思います。


BlackRock Inc.(以下、ブラックロック)のチーフ債券ストラテジストのScott Thiel(スコット・ティール)氏の発言がBloombergなどのメディアで取り上げられました(1月28日付「Fed Risks a Hawkish Policy Mistake, BlackRock’s Thiel Says」)。この記事の中で、ティール氏はサプライチェーンの混乱に大きく起因するインフレを抑えるためにタカ派的な金融政策をとることで間違いを犯すリスクについて警鐘を鳴らしています。このBloombergの記事の中でティール氏は、経済は新型コロナウイルス感染症拡大からの経済再開の最中であり経済の回復局面ではないこと、潜在的な経済成長率はより急速に減速するであろうことや中央銀行はインフレと経済成長率を同時に安定させることはできないということを述べています。そして、供給側によって引き起こされているインフレに対しては、先進国は物価上昇に耐えることを学ぶべきとコメントをしています。


FRBのジェローム・パウエル議長は1月のFOMCで、3月の利上げを示唆しており、QT(資産圧縮)についても次回の3月のFOCMで公表される可能性が残っています。ジョー・バイデン大統領はインフレ率の抑制に取り込んでいることから、0.25%の利上げではなく、一気に0.5%の利上げの可能性も意識されています。インフレ率の高止まりの原因が、需要側(ディマンドプル・インフレ)や経済の過熱に原因がある場合であれば利上げや金融引き締めの効果が期待できますが、原因がサプライサイドにある場合には、供給側の問題が解決しないとインフレの根本的な解決が見込めません。インフレを抑え込むために過度な金融引き締め政策をとってしまうと、実態経済やFRBが重視している雇用に悪影響を与えかねません。また、Ark Investment Managementのキャシー・ウッド氏などのようにインフレ率は自然に下がっていき、長期的にはデフレが問題になると考えている人たちもいます。そして、インフレ率の原因の一つとして、各国政府の財政政策を挙げている人たちもいます。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響を抑えるために行った財政政策がインフレ率の上昇の一つの要因であり、このような財政政策の影響がなくなっていけばインフレ率の落ち着いていくのではないかという意見です。


どの見解や予測が正しいのかは現時点ではわかりません。現時点で分かっているのは、インフレ率が高止まりしており、2月10日に発表される1月のCPI(消費者物価指数)のコンセンサスは7.2%とまだ高いままとなっています。1月のFOMCでは、パウエル議長は3月の利上げをどの程度行うのか、QTについての自然償還に限定するのかもしくは資産売却を行うのかについて発表を行っていません。はっきりとした態度や意見を表明しなかったため、タカ派的な内容と受け取りマーケットが弱気になったという側面もあったと思われます。次回の3月のFOCMの内容に関心が高まっているのも、具体的な金融引き締めのペースなどのメッセージがあると考えられているためです。ただ、FRBは金融正常化に向けて動いているということだけが現在わかっていることです、その他の金融引き締めやQTの時期やペースについては不透明な状況です(バイデン政権もインフレの抑えこみに力を入れています)。間違った金融政策や金融引き締めを急ぎ過ぎてしまうと、景気回復や経済成長に悪影響を与えてしまいます。


投資において不透明な状況が続けばどうしてもリスクがとりにくくなってしまいます。特に、新型コロナウイルス以降の金融緩和や大規模な財政政策が行われているときに、投資を始めた人たちにとってはなかなか難しい局面かもしれません。1月からの下落で含み損となったりしているかもしれませんが、積立投資はマーケットタイミングを図らず息長く続けていくものです。どの時点が相場の底なのか、どこが天井なのかは後からわかることであって、その時にはわからないものです。タイミングを逃さない一番の方法は、投資を続けて残り続けることですので、仮にこの1年で結果があまりでなくても、あきらめずに継続をしていってもらえればと思います。

※セントルイス連邦準備銀行のジェームズ・ブラード総裁は、ゼロ金利解除後の政策金利の道筋についてFOMC会合ごとに経済指標を点検することになるとの認識を示唆するなど、金融当局の関係者の発言がやや軟化している点も不透明感を増す原因になっています。


今回、触れた記事へのリンクです。英語版ですが、ご興味がありましたら、参考までにご覧いただければと思います。

https://www.bloombergquint.com/onweb/blackrock-s-thiel-says-the-fed-risks-a-hawkish-policy-mistake


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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