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世界経済 12月のFOMCの結果とインフレ・長期金利について

世界経済 12月のFOMCの結果とインフレ・長期金利について

こんにちは。

exit.です。

今回のコラムでは、12月14日~15日のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果及び、インフレ率と長期金利について取り上げたいと思います。


まずは、FOMCの内容について振り返りたいと思います。テーパリングの終了について、以前は2022年中旬としていたテーパリングの終了を2022年の3月に終了する見通しとなりました。今までは、米国財務省証券が月額100億ドルずつの減額だったものが月額200億ドルずつの減額に、月額50億ドルずつだった住宅抵当証券は月額100億ドルずつの減額となります。また、利上げに関しても、2022年に3回の利上げを想定しています。そして、2023年にも3回の利上げが想定されており、2024年委に金利が2%を超えるとの予測も出てきています。インフレ率に関しては、ジェローム・パウエル議長は、従来の一時的としていたインフレの表現から、「一時的」という言葉を削除し、インフレの長期化を意識したものに変えており、今やインフレは幅広い財やサービスに及んでいるという認識をしています。2022年のインフレ率の見通しは2.6%程度としていますが、供給制約(サプライチェーン)の問題は想定以上に長引いているとの認識を示しています。


次に、インフレ率と長期金利(10年国債の利回り)についてみていきたいと思います。12月11日に発表されたアメリカの11月度の消費者物価指数(CPI)は6.8%と10月度の6.2%に引き続いて6%を超える大幅な上昇となりました。テーパリングが加速し、利上げも来年には3回行われる見通しが強くなり、インフレ率も高い水準となっているにも関わらず、アメリカの長期国債(10年)の利回りは、FOMC以降も1.4%台となっています。普通であれば、インフレ率が上昇し、利上げが意識されれば、長期国債の利回りは上昇するはずですが、現状では逆に下がってきています。このことに対し、パウエル議長は、他の先進国(日本やドイツなど)の債券利回りはアメリカよりも低くとどまっているため、そのような利回りの低い国の債権投資家からの米国債への買い需要があるためだ、と説明をしています。これに対して、別の見方をすることができます。それは、債券投資家はインフレ率の上昇は長続きするものではなく一過性のものと考えており、将来的にはインフレではなく、デフレが問題になるという考え方です。債権投資家ではありませんが、ARK Investment Management LLCのキャシー・ウッド氏は、将来的にはデフレが問題となると考えている投資家の一人です。ここに、インフレをめぐって、一時的な問題ではないとするFRBの認識とインフレを一時的な問題で将来的にはデフレが問題になると考える債券投資家の認識のずれがあります。


現状ではどちらの認識が正しいのかの答えを出すことはできません。インフレの問題が長引くものであり、それが需要側の問題ではなく、供給側の問題であるのであれば、金利の引き上げ(金融引き締め)がインフレを解決するものにならず、景気の悪化をもたらす可能性があります。逆に将来デフレが問題になるという見通しが外れた(インフレが継続した)場合も、金融引き締め策(利上げ等)を行っていなければ対応が遅れることとなります。高インフレは特に経済弱者の人たちを直撃してしまいますので、FRBも無視できない問題です。


FRBメンバーでの経済成長率の予測は2021年末で5.5%、2023年は4.0%がコンセンサスとなっており、失業率に関しても2021年末で4.3%、2023年で3.5%がコンセンサスとなっており、決して悪いものではありません。経済環境が好調だからこそ、金融緩和の役割は終わり、テーパリングの速度を早めて、利上げを含めた適切な政策対応を行うことが役割だとパウエル氏は発言をしています。


インフレが長期化する可能性があり、利上げが2022年に行われることも想定されているのに、債券金利(利回り)が上がらない状況となっているため、ポートフォリオの中に積極的に債券を組み入れる(債権の比率を増やす)ことがなかなか難しい局面にはなっていますので、株以外の資産の組み入れについては、金・不動産・コモディティ(商品)を組み入れていくか、投資のパフォーマンスを下げてしまうことを覚悟して現金の比率を上げてしまうことが選択肢となるかと思います。リスク許容度を鑑みながらポートフォリオを都度の状況に応じて見直しても良いと思います。ただし、長期分散積立投資であれば、マーケットタイミングを図らずに継続して粛々と積み立てていくことが求められます。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


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