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世界経済 海外企業編 WeWork Companies Inc.

世界経済 海外企業編 WeWork Companies Inc.

こんにちは。

exit.です。

今回は、SPAC(特別買収目的会社)ボウX・アクイジション(BowX Acquisition Corp.)との合併を通じて2021年10月21日にNASDAQに上場をしたWeWork Companies Inc.(ティッカー:WE、以下ウィーワーク)について取り上げたいと思います。


ウィーワークは2010年10月にアダム・ニューマン(Adam Neumann)氏とミゲル・マッケルビー(Miguel McKelvey)氏が前身となるGreenDeskという会社を売却した後に設立しました。ウィーワークが大きくなり注目が集まってきた当初は、ウィーワークは不動産企業ではなく、テック系企業として取り扱うようなメディアや論調がありましたが、テック系企業のスタートアップを装った不動産系企業との認識が根付くようになりました。2014年には企業価値が50億ドルと見積もられ、2015年には企業価値が100億ドルとなり、それがさらに2016年には160億ドル、2017年には企業価値が200億ドルと言われるようになりました。


順調に企業価値を上げてきたウィーワークは2019年の上場を目指していましたが、アダム・ニューマン氏の縁故主義や不明瞭な融資、(会計上税務上)疑いをもたれるような企業と個人間の取引など、ニューマン氏の職務上の問題が次々と明るみに出たこと、及び赤字の拡大によるなどにより、ニューマン氏がCEOの職から退くことになりました(現在のCEOはサンディープ・マスラニ(Sandeep Mathrani)氏)。ソフトバンク(及び関連ファンド(ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド))は2017年より日本円に換算して1兆円超を同社に出資するなどの形で投資をしていました。一時期は、ソフトバンクの基盤を揺るがすような大失敗であったとみなされていましたが、今回無事に上場を果たす結果となりました。


2021年の第2四半期の決算では、売上高が593百万ドル、純損失が923百万ドル、フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフロー-投資キャッシュフロー)が-649百万ドルとなっています。これらは、2020年の第2四半期と比べると、売上高は882百万ドルとなり、3割以上の減収となっています。純損失は1,100百万ドルであり、赤字は縮小しています。フリーキャッシュフローは-671百万ドルで少し改善しています。次に2021年第2四半期と2019年第4四半期のビジネスの比較も確認ができます。オフィスの場所は594か所から629か所と35か所増加、デスクの数も687千から770千と約83千増加する一方で、トータルの会員数は628千人から406千人と大幅に減少しました。販管費は823百万ドルから225百万ドルへと大幅に減少しており、コスト削減を徹底的に行ったことがうかがえます。


次回の第3四半期の決算も近々発表がなされますが、2021年10月7日のIRでは、暫定的な数値の確認はできます。売上高は658百万ドル、9月の売上は228百万ドルで、5カ月連続で増収となり、9月の売上高は2021年で最大の売上高となる見込みです。デスクの販売契約数、バーチャルでのメンバーシップの契約数も大幅な増加を見込んでいます。数値はまだ確定してはいないと思いますので、詳細は財務諸表や投資家向けのセミナーなどでの情報共有(プレゼン)を待つ必要があります。


報道を見ると、2022年末までにフリーキャッシュフローの黒字化をという目標を経営陣は掲げています。2021年の年初には年末までの黒字化を目標としていたようですが、その目標は修正されたようです。今後は新型コロナの影響を受けて減った会員数(企業会員含む)などがどの程度回復・増加していくのか、新たに始めたオンデマンド(スペースを時間帯で売る)などのサービスがどの程度浸透していくのか、ユーザーの拡大がカギとなりそうです。なお、格付け会社のFitchは同社の格付けをCCC+(投資不適格級)としており、信用面ではまだまだ予断を許さないという判断をしているようです。ウィーワークは上場されたばかりなので、株式市場の反応についてもまだまだ注意深く見ていく必要があると思います。

※SPACでの上場が本当に妥当だったのかは疑問ではあると考えています。


以下のリンクが、ウィーワークのIRページです。英語で情報が提供されていますが、NASDAQに上場を果たしたことで、日本で手に入る情報も今後は増えてくると思います。

https://investors.wework.com/home/default.aspx


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。


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