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投資の知識 割高の株価が許容されるのはどのようなときか

投資の知識 割高の株価が許容されるのはどのようなときか

こんにちは。

exit.です。

今回は、割高の株価が許容されるのはどのような時なのかについて取り上げたいと思います。


本コラムを執筆時の米株のPER(Price Earnings Ratio:株価収益率)は20倍を超えています。これは、コロナ以前(2016年以降)の平均約18倍を上回る水準となっています。1986年以降ともう少し範囲を広げると平均約16倍となります。指標だけを見ると割高な水準にあると言えなくもないのですが、このような割高な(と思えるような)株価はずっと許容され続けるのでしょうか。


※PER=株価÷EPS(Earnings Per Share:一株当たり利益)。PERは、現在のEPSが今後継続して株主に還元されると仮定した場合に、株主が投資資金(投資元本)を回収するまでにどのくらいの期間がかかるのか、という回収期間を表す指標とも考えられるものです。PERの値が小さい=投資の回収期間が短い、となるため投資価値のある(割安な)株式と考えることができます。その逆に、PERの値が大きい=投資回収までの期間が長い、となるため投資価値の低い(割高な)株式と考えることができます。ただし、これはあくまでも一般論であることにも注意が必要です。


①企業業績の伸びや業績の回復が強いとき

割高と考えられる株価が許容される一つ目の理由としては、企業の業績や企業の業績回復のスピードが速いときです。例えば、今1株=1,000円の企業があり、その企業の今年(今期)のEPSが40円だとすると、PERは1,000円÷40円=25倍となります。しかし、その企業の来年(来期)の予想EPSが80円となり、倍の成長を遂げるとなった場合、PERは1,000円÷80円=12.5倍となり、決して割高とはいえない水準になります。EPSがいきなり来期に倍になるのは言い過ぎかもしれませんが、大きな成長や業績の回復が続くと考えるのであれば、現在の株価を将来のEPSで割った予測PERは小さく(割安の水準に)なっていきます。株式市場がその成長や回復の継続を見込んでいるときには、割高な株価は許容され株式市場は強気になりやすいと言えると思います。


②低金利の状態が続いているとき

新型コロナウイルス感染症による経済への影響を考慮して、各国の中央銀行は積極的な金融緩和を行っています。しかし、現在は、徐々に金融緩和の終了(テーパリング)や金融引き締め(インフレ対策)へと向けて準備を行っている段階です。株式投資で、大切なのは10年国債の利回りを確認することです。テーパリングや金融引き締め(政策金利の引き上げなど)があれば、この10年国債の利回りは上がっていきます。これがなぜ株価に影響を与えるのかと言いますと、借入や社債の金利の上昇を通じての費用の増加を意識されるところもありますが、もう一つ理由があります。理論株価を求める際に、この長期国債の利回りを利用しているということも関係していると考えられるためです。この場合の理論株価は、「理論株価=利益(もしくはフリーキャッシュフロー)÷割引率」で計算され、割引率は、「割引率=リスクフリーレート(長期国債の利回り)+リスクプレミアム(投資家の期待リターン)-企業の成長率」となります。長期国債の利回りが上がれば、そのほかの条件が一定であれば、分母が大きくなりますので、理論株価は下がります。逆に、長期国債の利回りが下がれば、分母が小さくなるので、理論株価は上がります。コロナ後の株価の動きは、長期金利の低下によるところもあったと思います。


企業の業績の予測や長期金利(長期国債の利回り)の変化に目を向けておくと、自分自身のポートフォリオを考える際のヒントになるかもしれません。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。


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