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海外ニュース編 ゲーリー・ゲンスラー氏による証券取引の改革とRobinhood(ロビンフッド)について

海外ニュース編 ゲーリー・ゲンスラー氏による証券取引の改革とRobinhood(ロビンフッド)について

こんにちは。

exit.です。

今回はSEC長官のゲーリー・ゲンスラー氏の証券取引の改革について取り上げたいと思います。


ゲーリー・ゲンスラー氏は、Robinhood Markets Inc.(ティッカー:HOOD、以下ロビンフッド)のような無料で証券取引が行えるアプリを支えている慣行を禁止しようとしています。そして、それが現在検討中(on the table)であることについて言及しています。ロビンフッドなどのような手数料無料のアプリを利用すると個人投資家は手数料ゼロで株式の売買取引ができるとされていますが、これは事実とは異なり、結局個人投資家が損をする仕組みになっていると、ゲンスラー氏は考えているとみられます。


このニュースを理解するためには、Payment for order flow(PFOF)と呼ばれる仕組みを理解する必要があります。簡潔に説明をすると、個人投資家がどの株を売買するのか、という「情報」を機関投資家(Market Maker:マーケットメイカーと呼ばれます)に売ることで収益を上げる仕組みのことです。マーケットメイカーとは、HTF(High Frequent Trading:高速高頻度取引)を利用して市場に流動性を供給する目的で市場に参加する市場参加者のことです。ロビンフッドのアプリを利用して株式を取引した場合には、「ロビンフッド→マーケットメイカー→証券取引所」というオーダーフロー(注文の流れ)になります。例えば、ロビンフッドを利用している人がある株Aを100ドルで買おうとしたとき、マーケットメイカーは株Aを99ドルで売りたい人を見つけてきて、注文を成立させます。差額の1ドルがマーケットメイカーの利益になります。そして、マーケットメイカーからロビンフッドへのこの1ドルの中からロビンフッドへの取り分を渡します。これが、ロビンフッドの取り分(収益)となります。株式を買った投資家(ロビンフッドの利用者)からすると手数料は払っていませんが、99ドルで買えたはずのものを100ドルで買っているため、結果としては良くないものです(高値掴みになってしまっているため)。ゲンスラー氏はここにメスを入れようとしています。


ロビンフッドの決算内容にも簡単に触れておきたいと思います。ロビンフッドは2021年8月18日に第二四半期の決算を発表しています。565百万ドルの売上を上げていますが、約8割に当たる451百万ドルが取引に応じた収益となっています。年間(6か月)では、売上高は1,088百万ドルで、そのうち872百万ドルが取引に応じた収益となっており、やはり80%を占めています。取引高に応じた売り上げの構成を見てみると、株式取引、暗号資産取引、オプション取引、その他と分かれていますが、その中でも暗号資産取引が233百万ドルと約半分を占めており、オプション取引と株式取引からの収益を合わせた割合を超えています。ただし、今期6カ月の売上高に占める割合を見ると、暗号資産取引によるもので約37%となり、株式とオプション取引を合わせた約63%よりも低くなります。預かり資産(Assets Under Custody:AUC)は、株式が70%超を占めており、暗号資産の約22%を大きく上回っています。預かり資産は1,020億ドル(第二四半期)で、第一四半期の810億ドルと比較して、26%ほど増えています。第二四半期の利益額自体は、転換社債とワラント負債の公正価値(時価のようなものをイメージしてもらえればと思います)の変動により、-502百万ドル(通期では-1,946百万ドル)となりました。キャッシュフローを見ると、営業キャッシュフローは2,281百万ドルで、投資キャッシュフローの-16百万ドルを大きく上回っています(フリーキャッシュフローは約2,265百万ドルとなります)。また、アクティブユーザーの数も順調に増えており第二四半期では21.3百万人となっています。

ロビンフッドのCFO(最高財務責任者)のジェイソン・ワーニック氏は、従来の手数料の方式よりも、PFOFの方が投資家の利益に資する、との認識を示していますが、ゲンスラー氏はそのようには考えていないのではないかと思います。ここに規制が入るとなるとロビンフッドの収益モデルについて大打撃となり、ビジネスモデルの見直しを迫られる可能性があり、今後の規制を巡る動向に注意が必要だと思われます。


以下はロビンフッドを取り上げたコラムへのリンクです。併せてご覧いただければと思います。


ロビンフッドのIR(投資家向けの情報)ページのリンクも併せて張っておりますので、ご参考までにご覧ください。

https://investors.robinhood.com/overview/default.aspx


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。


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