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世界経済 2021年のジャクソンホール会議での注目点は何か

世界経済 2021年のジャクソンホール会議での注目点は何か

こんにちは。

exit.です。

今回は、ジャクソンホール会議での注目点について考えてみたいと思います。


まず、ジャクソンホール会議とは何かを見ていきます。ジャクソンホール会議とはワイオミング州ジャクソンホール(地名)で、カンザスシティ地区連銀が主催する年次経済シンポジウムのことです。毎年、世界経済の見通しや金融を巡る課題が議論され、金融政策についても触れられることもあるため、ジャクソンホール会議で発信される情報は市場から注目が集まります。今年は特にアメリカのインフレ率の上昇や雇用の改善も見られることからテーパリングについて言及するのではないかという予想が出ているため特に注目度が高くなっています。


テーパリングとは、現在FRB(米連邦準備制度理事会)が資産購入プログラムで2020年6月から毎月購入している米国債800億ドルと住宅ローン担保証券(MBS)400億ドルの金額を減額・縮小(もしくは停止)することです。テーパリングの開始時期についてはテーパリングが株式市場や債券市場に大きな影響を与える可能性があるため、FRBは慎重に議論を進めています。現在のFRB議長のジェローム・パウエル氏はインフレ率の上昇については一過性であり、雇用についても安心できる状況ではないというスタンスを崩していません。このことからジャクソンホール会議では、テーパリングについての議論は何も出てこない可能性があります。ただし、パウエル氏自身はジャクソンホール会議での講演の中身については現段階では何も言えないとしています。


仮に今年のジャクソンホール会議でテーパリングの話が出てきたとしても、市場に与える影響は一時的と考えられます。そのように考える理由としては、テーパリングの話というのはあくまで金融緩和の縮小や終了のことであり、今まで供給してきた資金を引き上げる(金融引き締め)こととは異なるからです。FRBの資産買い入れ(国債や不動産担保証券など)によって供給してきた資金はそのまま市場に残り続けます。しかし、償還を迎えた債券の再投資を行わないステルステーパリングの可能性は考えておくほうが良いかもしれません。

※金融引き締めに向けての準備をしていると考えてもらえればと思います。


また、今回のジャクソンホール会議ではテーパリングの具体的な話は出ず、9月21日から22日のFOMC(連邦公開市場委員会)でテーパリングについての時期など具体的な話が出るのではないかという予測もあります。8月の雇用統計などのデータを見ながら9月にテーパリングの発表し、10月もしくは11月に購入資産額の縮小開始を行う可能性はあります。ただし、実際の政策金利の引き上げについては、早くても2022年になるとみられています。現状、FRBの主流派のメンバーは2023年以降の利上げ開始を想定しています。


そして、暗号資産や中央銀行の発行するデジタル法定通貨についても講演の中身として触れる可能性や議題に上がる可能性がありますので、こちらも注目しておく必要がありそうです。パウエル議長も黒田総裁も暗号資産については懐疑的(否定的)なスタンスを取っていますので、議題として挙がる場合には規制の強化という流れになる可能性があります。


資産運用・投資の側面から話をしますと、ジャクソンホール会議前後でリスクを抑えたい人はご自身のポートフォリオを保守的なものに変更して、ジャクソンホール会議での要人の発言を受けての相場の反応を見ながら再度積極運用に切り替える等したほうが無難かもしれません。ジャクソンホール会議で特に何も出てこない可能性もありますので、過度にリスクを取らないポートフォリオにしてしまうと、機会損失となる可能性もありますので、判断としては難しい局面であると考えています。ただ、不安な方はリスクを減らした運用に切り替えるほうが良いと考えています。考えるべきはリスクを減らし、如何に大切な資産を守るかであると考えています。


最後に、ジャクソンホール会議でのポイントをまとめます。

1.現在の世界の経済の状況(雇用やインフレなど)についてまだ油断できない状況だと判断しているのか、順調な回復基調にあると判断しているのか

2.テーパリングについての時期などについての発言があるか

3.暗合資産が議題として挙がった場合、規制を強めるなどの否定的なニュアンスなのか、それとも肯定的なニュアンスなのか

4.デジタル法定通貨の研究がどの程度進んでいるのか、発行の実現可能性はどの程度ありそうなのか

5.そのほかに、経済や金融で課題となっていることとして何を上げるのか

このあたりに注目をしてみたいと思います。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。