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政治経済 ブラック・スワンとグリーン・スワンについて

政治経済 ブラック・スワンとグリーン・スワンについて

こんにちは。

exit.です。

今回は、ブラック・スワンとグリーン・スワンについて取り上げたいと思います。


①ブラック・スワン

ブラック・スワンとは、株式市場などのマーケット(相場)では事前の予想が困難で、起きたときの衝撃や影響が著しく大きい事象(出来事)のことです。確率論のような従来の知識や経験からは予測できない極端な事象が発生し、それが人々(やマーケット)に多大な影響を与えることです。ブラック・スワンの具体例としては2008年に発生したリーマンショック(アメリカなどでは2007年-2008年金融危機と呼ばれています)、2016年イギリスのEU離脱、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行が挙げられます。金融市場で事前に予測していなかった(予想することができない)ブラック・スワンのようなイベントが起こると、相場が大きく変動し、また不安定になります。そのような状況下では、自分の資産を守るために、株式などのリスク資産は売られやすくなり、パニック売り(売りが売りを呼ぶ)のような状況になることもあります。


※リーマンショックでは現物資産である不動産も大きく値下がりしました。


※ブラック・スワンという言葉自体は、レバノン出身の元ヘッジファンド運用者でありデリバティブ運用者でもあった研究者のナシーム・ニコラス・タレブ氏(Nassim Nicholas Taleb)の2007年の著書『ブラック・スワン(原題:The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable)』の中で言及したことがきっかけで、広く使われるようになりました。


②グリーン・スワン

グリーン・スワンとは、国際決済銀行(Bank for International Settlements:BIS)とフランス銀行(Banque de France:フランスの中央銀行)の専門家により書かれた論文に初めて出てきた言葉です。気候変動が引き金となり、新たなグローバル金融危機が起こることを示唆したものです。「ブラック・スワン」の気候変動版と考えることもできます。地球環境の変化によって、市場や社会の環境も急激に変化し、価値が大きく損なわれる資産が増加することを指摘しています。それにより、投資家によるリスク資産の投げ売りが発生し、その結果として金融危機が起こると警告をしています。気候変動による災害が増加する影響で銀行などの金融機関の運営が滞ることや、それによる経済全体のバリューチェーンへの影響も懸念されている。


※以下がグリーン・スワンという言葉が初めて使われた論文のPDFへのリンクです。言語は英語でページも全体で100ページを超えますが、概要(Abstract)だけでも大まかには論文の内容が理解できるかと思います。タイトルを日本語訳にすると『気候変動の時代の金融の安定化と中央銀行の役割』になるかと思います。

The green swan – Central banking and financial stability in the age of climate change (bis.org)


③ブラック・スワンとグリーン・スワンの違い

ブラック・スワンとグリーン・スワンをそれぞれ簡潔に説明すると「ブラック・スワンが確率や知識などでは事前に予測不可能な出来事がきっかけとなる金融危機のこと」であるのに対して、「グリーン・スワンは環境破壊などによる気候変動という一定の確実性の高い出来事により発生する環境や社会を含めた連鎖的に起こる金融危機のこと」となり、この2つの違いとしては、①予測不可能なブラック・スワンに対して、グリーン・スワンには一定の確実性(気候変動が起こる)がある点②気候変動による危機は金融危機よりも深刻になるという点③金融面だけではなく、社会や環境など多くのものを巻き込んだものになる可能性が非常に高いという点の3つに集約できます。


ブラック・スワンもグリーン・スワンもどちらもスワンが共通していますが、それぞれに違う概念です。近年では、ESG投資やSDインパクト投資やグリーンボンド等多くの言葉が環境に配慮した投資を促すものとして、グリーン・スワンという言葉と共に注目を集めています。投資を行う際の一つの視点として持っておくことは大切なことではないかと思います。


次回も皆様のお役に立つ情報を発信していきます。


本コラムは、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。投資判断は投資家の皆さまの自己責任でお願い致します。